CH.レオヴィル・ラスカーズ Château Leoville Las Cases
ヴィンテージによっては5大シャトーを凌駕する、サン・ジュリアンの雄
かつてひとつのシャトーだったレオヴィル。いまではバルトン、ポワフェレ、そしてラスカーズという3つのシャトーとなった。シャトー・レオヴィルの核心部だった区画はこのラスカーズに引き継がれ、偉大なるワイン、レオヴィル・ラスカーズを生み出している。
グラン・アンクロト呼ばれるその区画はジロンド側に向かって急に落ち込む。またその土壌の複雑な組成とともにカベルネ・ソーヴィニヨンに最適なテロワールと言える。妥協を許さない選果など、醸造努力とあいまって、1970年代以降、時として1級シャトーに匹敵し、凌駕するようなクオリティを誇っている。
圧倒的な凝縮感。インクのような濃厚さの中に、フィネスとサンジュリアンらしいきれいな酸味、ミネラルを感じる余韻の美しさ。モダンではあるが、ボルドー頂点のひとつであることは間違いない。また、オフヴィンテージは存在しないのではないかと思うほどの安定感があり、比較的リーズナブルなオフヴィンテージこそ狙い目であろう。
本来のレオヴィルの区画外の畑のブドウを主体に、グラン・アンクロのブドウを一部ブレンドしたクロ・デュ・マルキはセカンド的な位置付けとされており、これはこれでクラシックスタイル、サンジュリアンらしい銘品である。また、近年、レオヴィル・ラスカーズの若木をもとに、プティ・リオン・デュ・マルキ・ドラスカーズという正式なセカンドワインができ、高くなりすぎてしまったレオヴィル・ラスカーズに対し、入門の位置付けとなっている。
レオヴィル・ラスカーズはたいへん長熟であり、至高のボルドー。果実味の豊かさから若くしても楽しめるが、5大シャトーと同様、本来の魅力に触れるためには20年以上の熟成がおすすめだ。
