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ワインショップ・プルミエクリュは「現地で飲むものと遜色ない」コンディションのワインのみ取り扱います

~本物のワインを求めるまでのストーリー

当店の運営会社である株式会社プルミエクリュの代表は酒屋の三代目。仕事柄、若い頃よりワインをはじめとしてたくさんの酒に触れてきました。そして、IT企業やコンサルティング会社などいくつかの企業を経て、独立資金を貯めると同時に製造業、物流、経営など様々な現場を経験し独立起業しました。

かつて世の中にワインブームがやってきた時、ボルドーやブルゴーニュの銘醸ワインももてはやされました。そんなとき、みんなが美味しいと信じて疑わない高級ワインが全く美味しいと思わなかったのです。シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルト、DRC、ヴォギュエ・・。硬い、渋い、ときには嫌な匂いがする。周囲は「これが高級ワインの味だよ」とか「まだ若いワインだから仕方ないよ」などいいます。自分の感覚がワインに対して不慣れなのだろうか、あるいは熟成が足りないのだろうか。若いワインは渋い、そう信じていた時もありました。そんな疑問を持ちながらフランスに渡った在りし日。疑問は氷解しました。

日本で飲んだものと同じ銘柄、同じヴィンテージのワインを生産者のもとで、あるいはパリのタイユヴァンなどワインの仕入と扱いに長けたレストランでソムリエ達とテイスティング。
「日本で飲んだときは美味しくなかった。まだ若いんじゃないのか?きっと渋いだろう」そんなことを思いながらも実際に味わってみると、とんでもなく美味しい。若いワインにはそれなりの若さを感じるものの、硬さはなくしなやか。熟成したワインにあっては、見える世界がまるで違う。衝撃を受けました。総じて果実味がふくよかで、舌触りが優しいのです。

『現地の空気がワインを美味しく感じさせる?』
それも少しはあるのかもしれませんが、日本に持ち帰ったワインも現地と遜色ない美味しさでした。すべての答えは保存状態と、飲み方にあったのです。

これを機に、現地で飲むクオリティに遜色ない状態でワインをお客様に提供し、最高の状態で召し上がっていただける会社をやりたいと決意したのでした。


生産者からお客様のお手元に届くまでのプロセスから考えるワインの品質(コンディション)

ワインは生鮮食品

例えばタイの刺身。一方は一本釣りで釣り上げられ、すぐに活け〆され、一貫して氷温で輸送され衛生的な店頭に並んだタイの刺身。もう一方は網の中で暴れて血がまわり、水揚げまで時間を要したうえに、炎天下の屋台のような魚屋でほこりっぽい外気に晒されて売られている。どちらも同じ「タイの刺身」ですが、その味が違うのは明らかでしょう。

ワインにも同じことが言えます。同じラベルが貼られたワイン・・、つまり同銘柄、同ヴィンテージのワインであっても中身の状態は大きく異なります。しかし実際はどうでしょう。そんなことを考えずに、「安い方でいいや」と価格比較サイトやネットの検索で見た安い方のワインを価格だけで選んでしまってる方も多いと聞きます。

もちろん、価格は大切です。TPOもあります。ただ、本来の味ではないものに他と比べたら安いとはいえ、決して少なくない対価を払うのは、少し考えてしまうことではないでしょうか。
 


正規インポーターだから安心?

正規輸入であることで偽物のワインである可能性は限りなく低いでしょう。しかし、正規インポーターとは「生産者から直接ワインを輸入している」ということに過ぎません。生産者によっては厳密な品質管理をしてくれるインポーターにのみ輸出を許す場合もありますが、多くはその販売力を見ているのが現実で、正規インポーターであることが品質を保証するものではありません。コストを下げるため輸入や保管のコンディションが二の次になるケースもあるそうです。

ちなみに並行輸入の場合は「その銘柄が有名で売れるのがわかっているからとにかく安く輸入しよう」というインポーターと、「正規インポーターの品質に納得できないからきちんとした品質で輸入しよう」というインポーターに大きく分けられます。特に後者の場合など、並行輸入のほうが美味しいケースもあるのです。

もちろん、本来の味で輸入・提供してくれる素晴らしい正規インポーターもあり、とても素晴らしいことだと思います。
 


リーファーコンテナだから安心?

特にヨーロッパからワインを輸入する場合においてリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)使用は最低条件です。実際にコンテナに温度計を入れて計測してみると、赤道付近を通過する際、温度管理されないドライコンテナではコンテナ内の温度はデッキ上で60℃、アンダーデッキ(喫水線以下)でも30℃を超えるという計測結果があります。常温のドライコンテナでの輸入は論外だとお分かりになるでしょう。「リーファーコンテナ使用」など明記する必要すらありません。半月以上も30℃以上にさらされたワインがどうなるか・・。これはつまり、日本の真夏にエアコンのない部屋で常温放置したワインそのものです。

さらに輸入プロセスを細かく見ていきますと、「リーファーコンテナ使用」と明記されていたとして、生産者からトラックに積み込む時の温度管理はどうでしょうか。そもそも集荷のトラックは冷蔵のリーファートラックでしょうか。さらに、港で積み込みを待つコンテナは電源が入って温度管理されているでしょうか。具体的には電源が抜かれた冷蔵管理されていないコンテナをコンテナヤードに放置すると、春秋で内部は40℃、夏では60℃にもなります。

そして日本に到着し、税関で現物検査される時はどうでしょうか。検査に立ち会って係員にきちんと依頼しないと常温で検査されてしまいます。

税関を通過して定温倉庫に輸送する際はどうでしょう。空港や港の倉庫に行くと、滑稽なことに夏の炎天下に常温放置された状態で低温倉庫行きの冷蔵トラックの到着を待っているワインたちを目にすることがよくあります。熱が入って劣化したワインはもとの状態には戻りません。

定温倉庫はきちんと温度管理されている倉庫でしょうか。定温倉庫といっても20℃というワインにとっては高い温度で保管していたり、「寒いから」とシェルターを開けっぱなし、熱気の入るなかで入出庫や検品作業をしていたり、冬は電源を落とし冷えすぎてしまう倉庫など、いろいろあります。

定温倉庫から販売店への輸送時は? 真夏に定温倉庫の軒先に並べられ、トラックを待っているワインを見かけます。店舗への出荷時、残暑の頃でもコスト削減のため冷蔵トラックも冷蔵便も使用しないインポーターやショップも存在します。どちらも本当の話です。そして、販売店の店頭では光、温度への対応はどうなのでしょうか。特に紫外線はワインを著しく劣化させます。

こう考えると、ワインの流通は落とし穴だらけです。ここまで気を使うと疲れてしまうかもしれません。しかし、落とし穴に落ちたワインは飲めばわかります。落とし穴の大きさと深さによって、現地で飲むものと変わらない品質の最上のコンディションが維持されたワインから、まあ飲めるというようなワイン、飲めるけど美味しくないワイン、香りもかぎたくないワイン・・とボトルのコンディションに差が出ます。
 


自分にあった、信頼できるショップを見つけましょう

正直、品質に完璧を求めることは現実的ではありません。流通事情やコスト面である程度は妥協せざるを得ないのが実態です。それをどこまで許容するかは個人の感性と価値観です。全てはバランスですから、それでいいと思います。それでも、当店のスタッフは仕入や取材を通して現地の味を知っているので妥協はしません。「失敗したくない方」、あるいは「現地の味を知ってしまってこの現実に我慢できない方」、当店にお任せください。

当店では、運営会社である株式会社プルミエクリュが現地と遜色なしと自信を持って輸入しているワインを中心に、同じこだわりを持って品質にこだわるインポーターさんのワインだけをテイスティングし、取り扱っています。

ワインをインポーターで選ぶという方もいらっしゃいます。しかし、ワインの流通にはこのようにたくさんの落とし穴が潜んでおり、インポーターはひとつの参考材料にしか過ぎません。インポーターによっては、普段は品質がイマイチでも、冬に輸入されたワインは状態が良いということも、輸入直後は状態が良くても定温倉庫でひと夏を越すと品質が悪くなるということもあります。同じインポーターさんでも、購入店によって品質が違うというケースもあります。流通経路を論理的に考えれば当然なことです。

最終的にはワインのコンディション面を含めた目利きができて、きちんとしたものだけを扱おうという姿勢、知識、技術を兼ね備えた信頼できるワインショップと付き合うことで、ワインライフがより豊かになるのではないかと信じています。「当店が一番」と言い切る気はありませんが、皆様のお手伝いができる信頼できるショップのひとつとしてお付き合いいただけると嬉しいです。
 


ドッグシェルター完備の定温倉庫

当店の運営会社である株式会社プルミエクリュとともに使用している定温倉庫の搬入フロアの様子です。船から陸揚げされたリーファーコンテナはこのシャッターの外から直接倉庫内に接続され、ワインは14℃前後の定温管理下で外気に触れることなく倉庫に搬入されます。外気にふれる場所でコンテナからいったん貨物を出してから搬入する倉庫では、熱劣化のリスクが高まります。

また、この定温倉庫は税関を通す前のいわゆる保税状態でも使用可能な許可があるため、ワインに最適な環境下での通関が可能です。税関を通す数日間の手続きのうちにワインを劣化させてしまう心配がありません。
 

定温倉庫・物流センターのスタッフ育成

当店では14℃定温保管のワイン用倉庫を中心に、シャンパーニュ用の10℃定温倉庫、専用地下カーヴなどを活用しています。もちろん、お客様への発送作業もこの環境下で行います。
ワインの品質維持のためには温度の設定はもちろんですが、定温倉庫のスタッフの皆様の、ワインに対する愛情と理解も欠かせません。以前、ほかの倉庫で「たかが酒だろう」と、夏のある日、寒いからと言ってシャッターを開放したままワインの選別作業をしていたという笑えない話がありました。当店の使用する定温倉庫では、ソムリエの資格をもつ現場リーダーのもと、ワインに対する愛情と理解がスタッフの皆さんに浸透するよう活動しています。

業界内では「あのインポーター、前は品質が良かったのに倉庫が変わってからはイマイチだね」というような噂を聞くことがあります。輸入時に気を配ることは当然ですが、定温倉庫は品質へ与えるインパクトが大きいのです。