シャトー・マルゴー Château Margaux
まさにパフューム。気品あふれるアロマ
シャトー・マルゴーを訪れると、常に畑や醸造設備に対する投資を惜しまず継続している姿に驚かされる。かつて1970年代、経営難からとても1級シャトーとは言えないクオリティのワインと成り下がってしまったシャトー・マルゴー。その時の思いがそうさせているのかもしれない。
もともと香り高いマルゴー村のワインにあって、シャトー・マルゴーの香気高さは群を抜いている。そしてその優美なイメージから優しいワインと思われがちだが、「ベルベットの手袋をまとった鋼鉄の拳」と称されるほど強靭なワインだ。平均して90%以上の非常に高いカベルネ・ソーヴィニヨンの比率がそうさせているのだろう。しかし、硬いだけではない、実に均整が取れた、貴婦人の如きボルドーなのだ。
ボルドー1級、5大シャトーというだけあり価格も相応のものである。メルロー比率が高くややスタイルはやさしめではあるが、セカンドワインのパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーがいくぶん手を出しやすく、シャト・マルゴーの雰囲気を感じさせてくれる。20年ほどの熟成を経てくれば、並みのグラン・ヴァンに引けを取らない。ただし、サードワインのマルゴー・デュ・シャトー・マルゴーにいたっては、マーケティング的には成功するだろうが味は別物なので、弊社ではいまのところ扱っていない。
本来のシャトー・マルゴーはぜひ20年以上の熟成を経たものを楽しんでほしい。いまなら1990年代の、特にオフヴィンテージぐらいでちょうどよいかもしれない。グラスに注ぎ、ゆっくり時間をかけて楽しむと、シャトー・マルゴーの『パフューム』に虜にされるだろう。